© Disney/Pixar
ピクサー・アニメーション・スタジオの作品を生みだす技法と科学に迫る展覧会「PIXARのひみつ展 いのちを生みだすサイエンス」が六本木ヒルズ展望台で開催中です。
こちら体験型の展示ということで一見すると子供向けの内容では?と思われますが、「本格的だから、仕事にしている人は行くべき!」「リピートして全部触りたい」と3Dクリエイターにも大変話題となっています。中には「まるで仕事してるみたいだった…」とtweetする人も。
フィジカルな断面を回転させると画面上に回転体が現れる。
— 山岡 潤一 Junichi Yamaoka (@jun1chi) 2019年5月26日
インタフェース研究者は見に行った方が良いよ #PIXARのひみつ展 pic.twitter.com/FBm87RHoxw
この展示は2015年にボストンサイエンスミュージアムで開催されたのが始まりです。その後、アメリカやカナダの8か所で合計150万人以上が動員。なんとアジア圏では日本が初の開催となります。
■何が体験できるの?
PIXAR作品を支える科学について、実際のアニメーション制作の内、8つの工程を体験しながら学べる体験型の展示です!展望台に広がるダイナミックな景色とともに、PIXAR作品がどのように作られているのかを学べます。また、各エリアでキャラクターとの写真撮影もOKなので是非カメラを持っていきましょう♪
①Modeling/モデリング
デジタルスカルプティングで3Dモデルをつくる
キャラクターデザインはアーティストがスケッチを描き、マケットと呼ばれる粘土模型でキャラクターの特徴を把握することから始まります。次にデジタルモデラーがマケットをデジタルスキャンするなどしてバーチャル3Dモデルにします。点と点をつないだ“デジタルワイヤーフレーム”になった最終の状態を“3Dモデル”と呼びます。
<モデリング> © Michael Malyszko
②Rigging/リギング
デジタルリグで動く
キャラクターに仮想の骨や関節、筋肉をつくるのがリガーの仕事です。例えば、腿を上げたときに膝が自然に曲がるように“リグ”でキャラクターの体の「パーツの動作」を決めます。アニメーターがキャラクターのポーズを簡単かつ効率的につくるには、リグの数・場所・曲がる角度などが適切につくられている必要があります。
<リギング> © Michael Malyszko
③Surfaces/サーフェイス
表面の見え方は、フォルムづくりとは別に行われる
物の見え方は、ストーリーそのものです。素材は何か。新品か、古びているか。手入れされているか、放置されたままか。バーチャル3Dモデルができると、サーフェイシングアーティストは“シェーダー”と呼ばれるコンピュータープログラムでその表面を加工します。 シェーダーが物に当たる光の散乱方法を調整する事で、表面を光沢ある透明なガラスのようにも、鈍色でザラザラの錆びたようにも表現できます。
④Sets & Cameras/セット & カメラ
バーチャルカメラで3Dの世界を覗いてみよう
ストーリーボードに描かれたイメージをリアルな世界に変えるには、小石・木・建物などシーンに合ったセットが重要です。セットデザイナーが、フレーム内でのセットの見え方を検証し、ストーリーの文脈や背景、情感を伝え、地面から仮想世界を構築します。カメラアーティストはバーチャルカメラで、ストーリーが伝わる構図、カメラの動き、レンズの種類を選択し、形にしていきます。
⑤Animation/アニメーション
アニメーションは演技である
ピクサーのアニメーターがキャラクターに演技をつけることでシーンに躍動感が生まれ、ストーリーに生命が吹き込まれます。まず、動きの中でポイントとなる位置を区切る“キー・フレーム”をつくる事から始めます。次にコンピューター・プログラムでキー・フレーム間の動きを描写し、アニメーターが望む感情をキャラクターに表現させます。
<アニメーション> © Nicolaus Czarnecki
⑥Simulation/シミュレーション
コンピューター・プログラムで動きを自動化する
キャラクターの髪の毛・毛皮・衣類が本物のように動くようプログラミングするのがシミュレーションプログラマーの仕事です。プログラミングの情報量と技術的制限、シミュレーションを起動する際にかかる時間との間でバランスを取りながら、火や水のような「自然現象の物理法則」を作品の世界観を基に設定することから取り掛かります。
⑦Lighting /ライティング
バーチャル照明が雰囲気とリアリティを引き立てる
照明効果はストーリー上で不可欠な要素です。観客の視線を誘導し、情感あふれるシーン表現の役割も担います。光の色や位置、明るさなど、照明効果に求められる要素はプログラムされており、照明デザイナーがコンピューター上でバーチャル照明をつくります。
<ライティング> © Michael Malyszko
⑧Rendering /レンダリング
2Dイメージに仕上げる
ここまでの工程でバーチャル上でのシーンは完成です。キャラクターには影とポーズがつけられ、照明とカメラは所定の位置にセットされ、シミュレーション効果の準備も整いました。ここからは最終的な映像へと仕上げるレンダリングの工程に入ります。ピクサーは各工程を低解像度で進め、最終段階で高解像度のレンダリングを行い、効率的に作品を完成させていきます。
すべての制作工程を最終的な2Dイメージへと仕上げ、アニメーションを作り上げます。
展示されている工程は本当の映像制作現場と全く同じで本格的という感想も頷けます。業務の中で全部の工程を担当することは無いかと思いますので、この機会に担当ではない部分も体験してみてはいかがでしょうか。
■チケット情報
●入場料
一般1,800円、高校生・大学生1,200円、
4歳~中学生600円、シニア(65歳以上)1,500円
●前売券
1,500円(一般)
詳しくは公式サイトをご覧ください。
https://www.tokyocityview.com/pixar-himitsu-ten/
「PIXARのひみつ展」はボストンサイエンスミュージアムがPIXARとの協力により開発したものです。
The Science Behind Pixar was developed by the Museum of Science, Boston in collaboration with Pixar Animation Studios. © 2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved. Used Under Authorization.
www.mos.org
※記事中の写真や諸情報はプレスリリース、制作会社の公式HPより引用しています。
※引用元プレスリリース (https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000042330.html)